- 出版社のESで落ちない書き方
- 自分の経験からESは書くこと
本記事ではこの2点について解説していきたいと思います。
本記事を書いている僕は都内の出版社で働いています。
出版業界の採用活動を行っていた経験をありのままに記事にしているので、興味のある方はぜひご覧ください。
本記事は出版社の僕が就活した経験を元に書いていますが、もっと情報が欲しい方は無料で利用できる就活ノートがおすすめです。
- 通過した過去のESが見れます
- 選考情報や試験問題が見れます
就活ノートには先輩のリアルな就活エピソード系コラムがあって、特に『コネ0の僕がテレビ局の内定を貰うまで』が面白いです。
同じマスコミ系の就活コラムということもあり選考の雰囲気も似ているので、出版社志望の就活生にはぜひ読んでほしいコラムです。
長くなりましたが、就活は情報戦でもあるので、業界人目線から話す僕の記事と就活ノートを有効に使ってもらうことをおすすめします。
もくじ
出版社のESは自分の経験を軸に語ろう
結論は「自分の経験を語る」ことが大切です。
つまり、「自分の経験を元に自分がどのような人かということを表現する」ことがES通過の一歩に繋がるのではないかと思います。
基本的に出版社のESを通過するためには今までの人生で経験したことが志望動機の軸となり、それが出版社で働くことに繋がっていることが大切です。
それでは、出版業界でよく聞かれることをベースに解説していきます。
エントリーシートの参考例を元に解説
ここからは実際に私が就活生の時に提出して通過したエントリーシートを参考例にして解説していきたいと思います。
学生の頃に書いた文章なので、いま見ると内容に甘い部分もあります。
そして、実際に選考を通過したエントリーシートを参考例として出していますが、同じように書いても通るとは限りません。
本記事で「何を書けばいいのか」というエントリーシートに書くべきことの本質を感じとってもらえると幸いです
質問①:出版業界を志望した理由
落ちるESにはよく書かれていることが「本が好きだから」ということを書いているだけのESです。
まずは確実に落ちる例から見ていきましょう。
だから、本に携わるような仕事をして多くの読者を楽しませたい。
上記のような志望動機はありがちな理由の筆頭ではないかと思います。
しかし、出版社を志望する理由として足りていないポイントが多いです。
具体的に下記にポイントを挙げたいと思います。
- 本が好きだから、としか書いていないのはNG。
- 本が好きなのはいいが、出版社である理由ではない。
- 「多くの読者を楽しませる」は、出版社でなくても実現できることではないか?
- 本が好きは出版社志望の人であれば当然のこと!
- 「今までの経験」と「出版社を志望する理由」が繋がっていない?
通過ESで解説
実際に僕が書いて通過したESを例に解説します。
小学生の頃、運動嫌いの私を変えてくれたのは漫画の「ドラベース」でした。
ただ野球を描くのではなく「ひみつ道具が使える野球」というドラえもんならではの方法で野球の楽しさを伝えてくれました。
それがきっかけで私は少年野球を始めました。運動が苦手でしたが、それでも主人公と同じくらい上手になりたいと練習に明け暮れました。
本は私を「新しい自分」へと挑戦させてくれました。この経験から、私も読者の背中を押すことができる仕事に就きたいと思い、出版社を志しました。
自分のこれまでの経験と出版社でやりたいことが繋がっているので、文章に説得力がでます。
ぶっちゃけ数年前に書いた内容ということと、実際のESでは文字数の問題がありますのでもう少し削る必要があるかもしれません。
そして「なーんだ、こんなクオリティか。たいしたことないじゃん。」と思った人もいると思います。
これくらいのレベルだとしても、自己分析して自分の経験をわかりやすく文字にするって結構難しいことなんですよ。
文章の粗さは目立ちますが、実際に選考通過したESの内容なので信頼性の担保になると思います。
こんな感じで実際の通過ESを参考にしつつ掘り下げていきますね。
質問②:出版社の中で、その会社を選んだ理由
これは出版社に限らず、他の企業でも聞かれる内容ですね。
なぜ「この会社を志望するのか」という唯一の理由が求められます。
まずは悪い例から見ていきましょう。
好きな作品があるのは出版社側としては嬉しいですが、ファン目線での理由として捉えられる可能性アリ…。
もしもこれを理由として書くのであれば、この文庫でやるべき理由や、具体的な企画案をセットで述べたほうが説得力の担保に繋がります。
貴社の出版物は学習参考書や実用書といった性格の本が多いと思います。もう少し幅広い読者を獲得するためにも政治経済の新書を企画し…
出版社だからといってジャンルを選ばずやれるわけではないので注意です。
会社のカラーというものが少なからずあって、それに合わない主張ばかりすると、いざ一緒に働くことになった場合に馴染めないんじゃないかと思われてしまいます。
下記の注意点に気を付けてみましょう。
- 他の出版社でもできることを言っていないか?
- ファン目線での理由になっていないか?
- 出版社のカラーを無視しすぎていないか?
通過ESで解説
私が貴社を志望する理由は、読者が求める情報のためなら良い意味で形に拘らない姿勢に魅力を感じた。
また、今後は紙の媒体だけではなくWEBメディアの運営などに携わることで読者にワクワクを届けるための接点を増やしたいと思っており、そんな出版社の枠に留まらない貴社の環境に魅力を感じた。
企画など具体的な施策を書いていないですが志望分野を特定していないことと、その会社ならではの部分が伝わるという点で評価してくれるレベルだと思います。
あと、出版社志望の人はマスコミ塾や参考書などで、ESには必ず企画を書かないといけないと勘違いしている人が多いです。
そんなものは実際の面接でいくらでも聞かれるタイミングがあるのでESの段階では抽象的に志望理由を書いても問題はないです。
もしもES内に企画を聞かれるような質問があれば、もちろん書くべきです。
しかし、企画を書くことを意識しすぎてESの内容から「あなたという人」が表現できていなければ、よほど企画の切り口が面白いとか企画力をアピールできるレベルでないと選考を通過することは難しいかもしれません。
貴社の「環境」に魅力を感じています。
OB訪問、HPなどの就職活動における貴社との接点を考えると、「おもしろくて、ためになる」の経営理念を体現できるのは、社員の方一人ひとりが常に面白いことを追い求める、良い意味で同じような方々が集まり、一丸となって仕事に取り組める環境があるからだと思いました。
そうした面白いこと、好きなことを追及するという共通項を持った方々が集まって、仕事に取り組むことが出来る貴社の「環境」に魅力を感じています。
これは僕が2016年度の講談社の採用試験で通過したESの内容です。
ぶっちゃけ経営理念などを理由にしているので少し内容が薄いです笑
でも実際に行動(OB訪問)した結果から生まれた理由なので少しは説得力があります。
質問③:入社したらやりたいこと(志望部署・企画内容)
出版社のESで最も特徴的な質問が「入社したらやりたいこと」だと思います。
志望する出版社でなければならないという理由に結び付けやすいので、よく考える必要があります。
書くことを志望部署だけに留めておくのはもったいないです。もう少し広い志向をアピールするようにした方がいいです。
また、具体的な企画を書いたほうが説得力の担保に繋がります。
- 朝井リョウが好きだ。朝井さんに、普遍的なニーズがある「ダイエット」を小説のテーマとして、ダイエットを通して人生を変えていく若者を主人公にした小説を書いてもらいたい。
- 近年流行した「ブロガー」を主人公にしたマンガや小説で自分が満足できるものがない。なので、ブログで億万長者に成り上がる漫画を貴社の○○部門でつくりたい。
これは企画にはなっていますが、それを実現して以降のあなたの働き方が想像に欠けていまいます。
面接で聞かれた時に答える分には十分な内容だと思いますが、これだけでESを終わらせてしまうのはもったいないです。
- 【部門:電子書籍志望】
電子書籍には場所に捉われない利点がある。その利点を追求しながら、貴社の豊富なコンテンツを全世界の場所問わずに配信するプラットフォームを構築したい。また、中国をはじめアジア諸国に日本のアニメ文化を輸出していきたい。 - 【部門:資材調達部志望】
本は紙によって質感も印象も全く異なることを知り、唸った。本を作る固定費を下げつつも読者が満足する完成度の装丁を作りたい。
これは単に仕事の内容を説明しただけなのでNG。
このミスは、資材部や制作などあまり仕事内容を知らない部門でやりがち。
これは「編集を志望するのは、本を企画・編集したいからです」と言っているようなものですね。
ESのなかで最もよくやるミスで、それも下手に業界研究をやっている人ほどやりがちな気がします。
業務自体ではなく何がやりたいかを書く方が他の就活生との差別化もできるのでそこを意識しましょう。
- それを実現したら他にやりたいことがなくなっていないか?
- 単なる仕事の説明になっていないか?
通過ESで解説
【集英社・宣伝志望】
私は宣伝・イベント事業というフィールドで、貴社の生み出す出版物をよりたくさんの人に認知させ、購買意欲を喚起させる役割を担いたいです。
具体的には、貴社のメンズノンノの世界を現実に体験できるようなコンセプトショップ等、従来の雑誌の形にこだわらない企画も行い、読者との接点を増やしたいです。
そうすることで、本を読まない若年層に貴社のコンテンツの魅力を伝えたいです。
僕が集英社のESに出した内容ですが、これは集英社が「HAPPY PLUSFLAG SHOP ルミネ新宿店」として期間限定で展開していた企画に近いです。
これもやりたいことが具体的に書かれた上で、限定もされすぎていないです。
【変則的な例:ジャーナリズム誌志望】
私は他社の週刊誌やジャーナリズム誌がこぞって取り上げるような出来事を異なる角度から捉え、より読者が楽しめる要素を含んだ記事を作りたいと思っています。
一見して興味の湧かないような出来事も私の力で面白く変えてやるといった気概を持って仕事に携わりたいです。
しかし本音を言うならば、男性である以上、やはりグラビアという魅力的な世界に、若者ひいてはオヤジにも夢を与える仕事という建前で携わりたい気持ちが私にはあります。
貴社で男性の心を鷲掴みにするようなグラビアを、この世の男性に伝えたいです。
この例は少しふざけた感じになりますが、出版社はこれくらい熱をもって書ければESは通ります。
なぜならこれも実際に僕が2016年度の集英社の採用試験に出して通った内容だからです。
正直、これだけが評価されたポイントではないとは思っています。
ですが、個人的な考察として、プレイボーイのグラビアが好きすぎて感情のままに書いたので、「自分という人間がどういう人であるのか」を人事の人が想像しやすかったのでアピールに繋がったのではないかと思います。
質問④:学生時代、頑張ったこと
これはどの業界でも聞かれる、いわゆるガクチカとか言うやつですね。
実際にそんなに頑張ったことないんだよなぁという人がここで悩むことが多そうですね。。。
僕も実際に就活生の時に何も頑張っていないのに必死にアピールしていた記憶があります。
ここは十人十色の個性が出るところなので、下記のことに注意してアピールしていきましょう。
- 頑張ったことが出版社でやりたいことと繋がっているか?
- 出版社の就職を意識したアピールをし過ぎていないか?
通過ESで解説
「究極のデニム探究」と称し、自分の理想のデニムを目指して育て、収集してきました。
この動きをすると「良いヒゲ」が出る、など日々雑誌などでデニムの情報を読み漁り実践するうちに、今ではデニムを20本以上所有しています。
そんな私は趣味から「熱中する」という素地を培いました。
このガクチカは無難なバイトの話でもないし、全く出版社に関係しないことですが、本人が仕事をする上での性質をアピールしています。
※無理やり考えれば「熱中する素地」は出版人のマインドとしては必須かなと思います。
個人的には、出版社のことに関連するようなES内容ばかりになってしまっていると幅のない人だと思います。
なので、自由に自分がどういう人かを表現してもいいと思います。
その方が人事もあなたの人間性を感じやすくなりますし、人間って想像しやすいものに親近感が湧いて知らず知らずのうちに贔屓目で見てしまうものですよ。
あと大手の出版社の内定者エッセイを読めばわかりますが、大学生活を出版社関係のサークルとかで過ごしてきた人が就職では有利かと勘違いしていませんか?
実際にそういった経験がある内定者って少ないんですよ。
むしろ、大学生活でどんなことに興味があって、それはどうしてか、を出版社で働く時に絡めて説明できることの方が意外にも大切だったりするんですよ。
最後に一言、僕はこのガクチカを書いていたESで落ちたところはありません。
むしろ面接の時の話題にもなりますので、面接を緊張せずに受けることができた記憶があります。
好きな雑誌、印象に残っている1冊(書評)
これは出版社ならではの質問ですね。
ここでESを書く際に「応募先の作品を書くべきなんだろうか?」と疑問に思われる人もいると思いますが、結論はどっちでもいいです。
なぜなら、人事も「お、自社の作品を読んでいるから優遇しよう」なんてことをするわけがないからです。
ここはいろいろな解釈があると思いますが、僕の場合は「自分のアンテナ感度を聞かれているんだな」と解釈していました。
特にここは悩む必要はなく、自分が好きな作品や印象に残った作品を書くべきかなと思います。
例えばですが、集英社のESではジャンルごとに複数聞かれることがありますので幅広いジャンルを挙げるべきかなと思います。
なぜなら、3冊も聞かれているのにすべて漫画を挙げてしまうとどうでしょうか?
客観的にみるとそのESから「漫画しか読まない人なんだな」という印象を与えてしまいます。
具体的にどのように書くべきか?
書籍:舟を編む 著者:三浦しをん 出版社:光文社
「辞書の膨大な数の見出し語や語釈や作例は、すべて誰かが考え抜いたもの。」読むまでは辞書に、ここまで編集者の努力と熱気が込められているとは想像もしていなかった。
編集者の仕事を通して描かれる人間関係もさることながら、言葉への執念を感じた一冊です。
こんな感じです。
簡潔にまとめつつ率直な意見を書けばいいかと思います。
あと意識するのは、出版社ではESの段階で志望部署が聞かれますが、その時に雑誌志望であれば印象に残った本は他ジャンルのものを挙げた方がいいです。
ここで先ほどの「自分のアンテナ感度を聞かれている」ということを思い出してください。
つまり、雑誌志望の就活生が雑誌を挙げるよりも、書籍や漫画といった他ジャンルを書いたほうがギャップが生まれ、ESの幅の広さを出すことができるからです。
落ちないESの書き方まとめ
- 「本が好き」から先の視点とやりたいことが伝えられているか?
- 出版業界の中から、なぜその出版社を志望するのかが示されているか?
- これまでの人生経験が志望動機の軸となっているか?
- 出版社で働く素地を学生時代から培ってきたと少しでも感じられるか?
- ギャップを生み、幅のあることをアピールできているか?
このポイントをそれぞれ抑えられたらまずESの段階で落ちることはないはずです。
ESは自己紹介をするためのものです。
ESを通して「私はこういう人間です」と精一杯アピールすることがES突破のカギになります。
出版社のESはボリュームがすごいので、必死に書いたのに落ちたらメンタル逝きます、、、気を付けて仕上げることをオススメします。
本記事では出版社の僕が就活した経験を元に解説してきましたが、もっと情報が欲しい方は無料で利用できる就活ノートがおすすめです。
- 通過した過去のESが見れます
- 選考情報や試験問題が見れます
筆記試験については下記で解説しています。
最後になりますが、出版社志望の人であれば見ておくべき作品を紹介しておきます。
出版社のインターンはぶっちゃけ時間の無駄なので、映画とかをみて自分が働くイメージを膨らませたほうがよほど効率的です。
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